緑林寮

ブックオフで愛蔵版が投げ売りされていたので久しぶりに那州雪絵ここはグリーン・ウッド」を読み返してみたら、ラストシーンがまったく記憶になかった。まあたぶん昔読んだときもあまりしっくり来てなかったからじゃないだろうかと思う。そのラストシーンというのは、すっかり寮長が板に付いた蓮川が、遊びに来た友人(=読者)を導き入れるというものなのだけど、あそこでは、直前のエピソードで光流先輩と忍先輩の卒業を匂わせている関係上、読者が緑林寮に足を踏み入れるのは、友人としてではなくて、新入生として、がより正しいのではないかな。よく「学生寮もの」の金字塔と評される本作品、実際今読んでも名作なんだけど、ラストだけはあんまり好きになれないな。
というかまあそれは単におれが、過ぎ去ってしまった「たまり場」を偲ぶセンチメンタリズムが好きすぎる、もっと言うと桑田乃梨子「男の華園」が好きすぎるというのが大きい気はするが。