石川雅之『人斬り龍馬』

現在イブニング連載中の『もやしもん』でプチブレイクしている石川雅之、が、以前コミック乱という雑誌でひっそり描いていた時代物シリアス短編をまとめた作品。この人は現時点で評価すると、ホントに惜しい、ことになってしまうかもしれない。そもそも一冊目の単行本『週刊石川雅之』（10週で1話ごとにまったく違うお話をやるという趣旨の作品）を見ても分かるとおり、とことん幅の広い作風で、かつどの方面でも一定以上のクオリティをもった作劇をするってのはそうそうできる人もいない芸当なんだけれど、その一方で画風が微妙かなーなんて……。いや、作画自体は現代的できれいなんですよ、ただ、コメディをやるにはちょっと暑苦しさを感じてしまう場合があるし、この単行本みたいにシリアスなお話ではそのポップさが前に出てきてしまって、ね。もちろん、今描いてる『もやしもん』ではその辺への意識もすごく感じられるんで、これからに期待を持っている作者さんだということは間違いないですが！