福満しげゆき『僕の小規模な失敗』

僕の小規模な失敗 あんまり売れてないんかな? 福満しげゆきの新刊がもう出ていますよみなさん! 個人的には、この人にボンクラ漫画を描かせたら今の日本では比肩しうるのは吾妻ひでおくらいしかいないんじゃないか、ってくらいの才能、なんてのは言い過ぎかな? いや、実際この作品は傑作で、そのすごさは作中のネームを並べた帯のコピーを読むだけでも分かる。しかもこれが、あとがきによるとほぼノンフィクションってのが……!

このままじゃダメになる…
すべてがダメになる大いなる予感!
恋愛ゲームに参加できず、学歴コースからも脱落し、現状打破をねらった漫画コンクールでは相手にされない、そんな主人公の将来はいったいどうなる?
これぞアックス版 まんが道

こんな、正真正銘ボンクラ主人公のぐじぐじ悩んで停滞する(身につまされる)青春が、こんなにもおもしろおかしく読めてしまうのは、(吾妻の『失踪日記』がそうであったように)福満しげゆきが本質的にギャグの人であって、かつ漫画の上手い作家さんであるということ。なんというか、ホントにね、『失踪日記』がベストセラーになる市場なんだからさ、こういうのが売れないのはまったくもっておかしいし、ましてやこの作者が今でもコンビニでアルバイトをしているというのはもはや狂気の沙汰だと僕は思うんだけど、困ったことに、この本をそもそも入荷してる書店がほとんどないんだよなあ(なぜか京都の信長書店は大量に置いてた)。