カリスマのひと

どいつもこいつも 3 (ジェッツコミックス) 雁須磨子の『どいつもこいつも』は自衛隊が舞台とはいえ、その面白さは特殊職能ものというより、明らかに『ここはグリーン・ウッド』的な「寄宿舎(寮)付き学園もの」の系譜に連なっており、そしてそれらの作品に僕がめっぽう弱いのは、主に宿舎に漂う「たまり場」感のためで、そういう意味では『どいつもこいつも』は僕の中では桑田乃梨子『男の華園』の隣に位置する物語であると言える(そういえば『どいつもこいつも』作中に『男の華園』が登場する)。一方で、『どいつもこいつも』が異動の多い自衛官という職業を主役に据えながらも、『男の華園』を傑作たらしめた「たまり場の喪失」を直接的には描かず、昇進や進入隊員などの存在によって仄めかすという手法を採ったことが僕にとって非常に興味深った。